2026/07/18 |
MEN'S BIGI 2026 A/W EXHIBITION |
待望の2026A/Wシーズンテーマを 私GMが超極私的妄想徹底解説! |
お洒落に迷える昭和男の駆け込み寺
「昭和男の令和スタイル」主宰のGMです。
今回の話も気絶するほど長いので、
体調に留意しながらお読みください。
さて先日、
私にとって三度の飯と晩酌の次に大好きな
ワールドカップ開催中にもかかわらず、
2026 A/W 展示会に行ってきました。
(そりゃ、仕事だから行くだろ)
メンズビギの展示会場って
ただ商品を並べるのではなく、
シーズン毎のコンセプトに沿った
ディスプレイや演出によって
その世界感を丸ごと表現している。
それはそれは見事なものである。

そして以前にも書いたけど、
毎回私が一番注目してるのが
実は服そのものよりも、
シーズンテーマの方にある。
それはどんな分野でも
モノ作りにはその前提として、
確固としたイメージやコンセプトが
欠かせないはずだからだ。
これがボンヤリしたりブレてると、
ただの作品の寄せ集めでしかなく、
そこに魅力的な世界観は生まれない。
もちろん洋服の場合も然りで、
言い換えればその制作意図や背景を
読み取ることが出来なければ、
その服を本当に理解したとは言えないのだ。
(相変わらずエラそうに…)
ところでこれは私の持論でもあるのだが、
“ファッションとカルチャーは共鳴している”である。
これは現代のファッション史がすでに証明している。
特に音楽や映画、アートなどの分野では、
歴史と格式のあるハイカルチャーよりも
カウンターカルチャーと表裏一体なのだ。
さらにもっと大きな視点でみると、
その時代の政治や経済だけでなく、
思想や風俗とも切り離すことができない。
まさにファッションは社会を映す鏡なのだ。
(オイオイ、論文でも書くつもりか?)
50年以上の長い歴史をもつメンズビギの
歴代のデザイナーやディレクター達は、
総じてカルチャー全般に造詣が深かった。
そしてそれらをフィルターに通して
いまの服に落し込むのに長けていた。
もちろん私より一回り若い世代の
現在のディレクターS氏も例外ではない。
それはこれまでのコレクションが証明している。
だからこそメンズビギの服の背景には
常に揺るぎない一本の筋が通っているのだ。
そんなS氏がいまのトレンド踏まえながら、
どんな切り口(テーマ)で見せてくれるのか?
私はいつも楽しみでしょうがないのである。
ということで今回も
A/Wシーズンテーマについて、
私GMの超極私的妄想解説の
はじまりはじまり〜
とその前に…
それは3ヶ月ぐらい前のことだった。
メンズビギのディレクターS氏が店を訪れた。
多忙を極めるS氏が店を訪れるのは稀である。
せっかくの機会だから私はS氏に
しょうもない質問ばかりぶつけてみた。
しょうもない質問なら最初から聞くな!
と思われるだろうが、
私が三度の飯と晩酌の次に大好きな
次のシーズンテーマだけは知っておきたい。
(ワールドカップはどこ行った?)
『ねぇねぇ、スーさん、
今度の秋冬のテーマって、なぁ〜に?』
実際はもう少し丁寧に聞いたのだが、
普段は寡黙で近寄りがたい雰囲気がある彼に
敢えて私は心の中でチコちゃん風に尋ねた。
するとS氏は、
『GM君、いい質問だね。でもそれはね、展示会の時の お・た・の・し・み❤️』
と子供をあやすかのように答えた…
というのはウソで、
私が勝手に言葉を変換しただけだが、
実際の内容はそのままであった。
恐らく情報漏洩にも繋がるからであろう、
S氏ははっきりとは教えてくれなかった。
それでも私はその後も食い下がった。
きのう何食べた?とか、
靴下は左右どっちから履くの?とか、
シーツは何日おきに洗ってるの?とか…
というのもほぼウソだが、
徐々に会話が温まってきたところで
『ねぇねぇ、スーさん。シーズンテーマって、どうやって決めてるの?』
さすがにチコちゃん(私のこと)を不憫に思ったのか
これにはS氏も真剣かつ丁寧に教えてくれた。
そしてその後もS氏と私チコちゃんは、
ファッション&カルチャー談義に花を咲かせた…
と私は勝手にそう思っている。
そして機は熟した。
S氏のガードが甘くなってきたところで
私は遂に核心に迫る質問をしたのだ。
『ねぇねぇ、スーさん。最近ハマってたり、興味あるものって、なぁ〜に?』
『そうだね〜、GM君。最近はアシッドジャズかなぁ』
はい、いただきました!
S氏は私の巧妙に仕掛けた罠に掛かった。
(あ、失礼!)
遂に私は “アシッドジャズ” という
重要な手掛かりを手に入れたのである。
と同時に私のアタマの中では
『アシッドジャズって何?』
という黄色信号が点滅したが、
もちろんそんな表情はお首にも出さず
『なるほどぉ、アシッドジャズかぁ。
いいですよねぇ、アシッドジャズって』
と曖昧に切り返していたのである。
しかもよせばいいのに
『例えばどんなアーティスト?』
などと無謀なリスクを冒してまで
さらに深掘りしようとしていたのだ。
私の得意分野はブリティッシュロックで
ジャズはほとんど聴かないのであるが、
“アシッド” というコトバの響きから
“幻覚” とか “ダンスミュージック” という
ニュアンスだけは感じ取ったのである。
おそらく来シーズンのテーマは、
80年代後半から90年代のクラブシーンを
イメージしたコレクションなのかな?
と私は勝手に想像していた。
そして2026 MENS BIGI A/W展示会当日、
遂にそのベールが剥がされたのだ!
それは…
『1950〜60年代のロンドン・ソーホー。地下のジャズクラブでは、アメリカから渡ってきたモダンジャズが流れ、英国紳士の伝統的なテーラリングと自由なカルチャーが交差していた。2026 AUTUMN&WINTERのメンズビギは、そんな時代の空気感を現代的に再解釈。ロンドントラッドをベースにしながら、ジャズのような即興性や余白を取り入れることで、品格がありながら堅すぎない、大人のスタンダードを提案する…』
というものだ。

う〜ん、これは一本取られた!
ジャズ自体は当たっていたが、
アシッドジャズではなくモダンジャズだった!
私の想像よりもっと遡った時代設定である。
しかも今回のテーマはいつもと違い
特定の時代、地域、場所をイメージしている。
そしてこの時代のロンドン・ソーホーといえば…
1960年代(特に1965年〜67年頃)におけるロンドンは「スウィンギング・ロンドン」と呼ばれ、間違いなく世界のポップカルチャーの中心地だった。 それは、ファッション、デザイン、映画、文学、アート、写真、建築、そして音楽などに携わる人々が醸し出した、一つの確固たる文化革命ムーブメントであり、ロンドンが最も熱く輝いていた時代だ。それまで権威的なモードやカルチャーの象徴だったパリから、時代はロンドンに移っていく。そしてその起爆剤になったのが「若者」「音楽」「ファッション」の3つであり、その中心地こそロンドンのウェストエンドに位置するソーホーである。

20世紀中頃のソーホーは性風俗店や映画館、ナイトクラブなどが並ぶ歓楽街として栄えた長い歴史をもつ、夜が似合う街だ。その雑多で混沌とした雰囲気はどこか新宿のような感じかもしれない。1960年代のスウィンギング・ロンドン時代、カーナビー・ストリート界隈がファッション及びサイケデリックな色彩を帯びたストリート・カルチャーの発信地として国内外から注目を浴びた。歴史と文化が交錯するソーホーは、モーツァルトやセックス・ピストルズなど、数々の著名人が暮らした場所としても知られている。
さて、ここまでが今回のテーマの背景にある特定の時代と地域であるが、さらに掘り下げていくと実はある特定の場所が存在するのだ。私が考察したその場所とは…

先述のテーマにもあったように、50〜60年代のロンドン・ソーホーで地下のジャズクラブといえば、ここしかない。ロニー・スコッツ(Ronnie Scotts) は、1959年に開店した、伝説的なロンドンのジャズ・クラブである。イギリスのジャズミュージシャンだけでなく、大西洋を越えてやってきた多くの本場アメリカの名プレーヤーたちの名演が体験できるこのクラブは、ロンドンのスノッブな連中や紳士、若き才能が集まる社交場と化していったのである。そんな彼らのファッションを現代的に再解釈したのが、今回の2026 A/W コレクションなのだ。
ところでジャズに疎い私が、なぜロニー・スコッツのことを知っているかというと、実はここで演奏することはロック畑のミュージシャンにとっても憧れだっからだ。あのジミ・ヘンドリックスの、公の場所における最後の演奏(1970年)もロニー・スコッツにおいてである。さらに私がこのジャズクラブ内の雰囲気をはっきり知るきっかけとなったのが、孤高のギタリスト「ジェフ・ベック」のライヴ(2007年)映像である。僅かキャパ200名ほどの小さな会場とステージでの濃密なパフォーマンスには、エリック・クラプトンがゲスト出演し、会場にはクイーンのブライアン・メイ、ブラック・サバスのトニー・アイオミ、ジョン・ボン・ジョヴィ、ジョー・サトリアーニ、さらにレッド・ツェッペリンのロバート・プラント、ジミー・ペイジなど錚々たるロックセレブが観にきていたのだから驚きだった。
さて今回のコレクションで私が最も注目したのは、クラシックなデザインや素材だけでなく、その圧倒的なカラーパレットである。
ロンドン・ソーホーの夜の街並み、ジャズクラブの薄明かり、英国の伝統的なテーラリング、そして静かに流れる音楽…。今回のコレクションではそんな情景を深みのあるカラーでそれぞれ表現している。例えば…
*Jet Black ナイトブラック
*Charcoal Gray ウールスーツの色
*Navy Blazer ロンドンの夜空
*Neutral Gray 都市のコンクリート
*Chocolate Brown ジャズクラブの木内装
*Olive Night ミリタリー要素
*Storm Blue ロンドンの霧
*Camel ヴィンテージコート
*Dusty Rose ジャズの色気
*Desert Sage 洗練ミリタリー
*Windsor Wine 赤ワイン
*Almond Oil ラウンジの灯り
*Brass 真鍮パーツ
カラーパレットだけで、これだけの情景を掘り下げてるのはスゴい!の一言だ。さすがスーさん!








ご存知の方も多いかもしれないが、昨年メンズビギは創業50周年を迎えた。スウィンギング・ロンドンの時代、当時のエネルギーに満ち溢れた空気を直に肌で感じた数少ない日本人の若者の中に、メンズビギの創業デザイナーであるタケ先生こと菊池武夫氏がいた。さぞやタケ先生は創作意欲を掻き立てられたはずだ。そして英国の伝統と革新、そして様々なカルチャーからインスパイアーされて具現化したのが、メンズビギの服だったのである。そういう意味で今回のコレクションは、そんなメンズビギの歴史のスタートに原点回帰するような意味が込められているような気がしてならない。
ということでいかがでしたか? 個人的にはワールドカップ中なので “イングランド代表とオアシスの名曲「Wonderwall」との関係” や “ミック・ジャガーの呪い” など、まだまだ話したいことは山ほどあるけど(関係あんの?)、一旦はここまで。今回も長々とお付き合い頂き、誠にかたじけない。とりあえず、これから始まるメンズビギの秋冬コレクションに乞うご期待です!
では最後に、せっかくだから時間のある方は、20世紀のポップカルチャーが生んだ最高到達点であるビートルズの名曲「A Day In The Life」を、ジェフ・ベックの演奏でお聴きください!もちろん会場はロニー・スコッツ! 是非下記のリンクをタップ or クリックしてみてね♪